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がれきを活用した森づくりの第一弾、岩手県大槌町で開催

2012 年 6 月 20 日

2012年4月30日、岩手県大槌町で横浜ゴム主催による「千年の杜」植樹会が開催されました。がれきを活用した「いのちを守る森の防潮堤」を作るのが目的です。大槌町住民の皆様約330名を含め543名が参加し3,391本を植樹しました。植樹会には碇川豊大槌町町長、植物生態学者の宮脇昭氏、来賓として細川護煕元首相、細野豪志環境大臣などが参加し、横浜ゴムから南雲忠信会長兼CEO、野地彦旬社長ほか従業員ボランティア50名を含む111名が参加しました。

大槌町「千年の杜」植樹会の開会式の模様

岩手県大槌町の場所(左)と植樹会の会場

 

がれきを活用した森づくりとは

がれきを活用した森づくりは植物生態学者宮脇昭氏が提唱したものです。宮脇氏は東日本大震災後の津波被災地の現地調査を踏まえ、その土地に適したタブノキやシラカシなどの森は木々が深く根付き津波エネルギーを減衰させ、同時にがれきを植樹マウンドに利用することで膨大に発生したがれき処理も進展すると訴えています。

太平洋沿岸300キロに森を創生

宮脇氏の各界への精力的な働き掛けに応え、今年5月25日、一般財団法人「瓦礫を活かす森の長城プロジェクト」が発足しました。理事長に細川護煕元首相、副理事に宮脇昭氏、理事には作詞家の秋元康、ロバート・キャンベル東大教授、アートディレクター佐藤可士和の各氏らが名を連ねています。同財団は青森県から福島県までの太平洋沿岸300キロに渡る森の防波堤作りを目指しており、4月の岩手県大槌町を皮切りに、5月に宮城県岩沼市で植樹を実施、今後福島県南相馬市などでもモデル植樹を計画しています。

大槌町は森の防波堤づくりの第一弾

大槌町の植樹会は、宮脇氏らが構想した壮大な森作りプロジェクトの第一弾として開催されたものです。大槌町は震災復興計画のひとつに「いのちを守る森の防潮堤」を掲げており、宮脇氏が提唱するがれきを活用した森づくりに賛同していました。大槌町町役場の職員の方々は復旧・復興に向けた膨大な事務・折衝作業に忙殺されているため、植樹会開催に向けた準備は、大槌町と連携しつつ横浜ゴムが中心となって行いました。

横浜ゴムが主催した理由

横浜ゴムは2007年11月から宮脇氏の指導の下、「YOKOHAMA千年の杜」プロジェクトを展開しています。同プロジェクトは、横浜ゴム創業100周年に当る2017年までに国内外の生産拠点などに50万本の植樹を計画しており、今年6月までに256,000本の植樹を終了しています。宮脇氏との交流を通じて、氏が提唱する東日本大震災からの復旧・復興に向けた森づくりに賛同しており、大槌町植樹会を主催する形でお手伝いしたものです。

 

当日の模様

植樹場所は小槌川沿いのマウンド

植樹終了後の集合写真

 

以下は大槌町「千年の杜」植樹会での挨拶の要旨です。

碇川豊大槌町町長

「大槌町のがれきは単なる災害廃棄物ではありません。被災された皆様の生活の一部であり、ある意味で遺品でもあります。そうしたがれきで作る森は、すなわち鎮魂の森であり、将来に渡って災害の記憶を風化させない取り組みだと考えます」

細川護煕元首相

「私は宮脇昭先生と共に有志の方々を募って、がれきを活かした森の長城プロジェクトを立ち上げようとしています。太平洋沿岸300キロに渡って、がれきで20~30メートルのマウンドを作り、10年間で9,000万本~1億本植樹しようと呼び掛けています」

細野豪志環境大臣

「横浜ゴムさん、大槌町の皆さんから、がれきを防災拠点として活かすご提案をいただきました。政府では規制を乗り越えてやれる方法があるのではと取り組んでいます。本日は大槌町だけの鎮魂の森のスタートではありません。野田佳彦総理のイニシアティブの下、まもなく仙台平野から“緑の絆再生プロジェクト”をスタートします」

南雲忠信横浜ゴム会長兼CEO

「当社は2006年、中期経営計画グランドデザイン100を策定、基本方針のひとつに“トップレベルの環境貢献企業になる”を掲げました。ちょうどその時期、植物生態学者の宮脇昭先生とお会いし、先生の提唱される本物の森づくりに感銘を受け、2007年から国内外の生産拠点で植樹活動を継続してまいりました。東日本大震災後、宮脇先生が提唱されたがれきを利用した森づくりのお手伝いをしたいと考えていました」

野地彦旬横浜ゴム社長

「私どもは現在まで、全世界で木を植えてまいりました。特に東南アジアは暑い気候ゆえ、1年間で2メートルぐらいに育っています。大槌町は気候の影響もあるでしょうから1メートルぐらいでしょうか。それでも10年後には本当に素晴らしい森になると思います。我々は、このようなイベントをはじめ、復興のためにできることは何でもやろうということで、従業員のボランティア派遣や物資支援も継続的に行ってまいります」